2012年4月21日土曜日

自分と皮膚、ちょっとエロティック

 黒川(創)「これが小沢(信男)さんなんだと思うのは、小沢さんの作品って、ご自分のことを書いているようでいて、そこから小沢さんの個人史をとろうと思ったら、ほとんどとれない。よくわからない。なんでこの人、二四、五になって日大行っているんだろう、とかね。よくわからない。ぽこっと浮いてくるだけで、それがほんとうに物書きだったんだな、という感じ。
山田稔さんも、タイプは違うけど、それは確かにそうなの。そういう物書きは、作品の皮膚が、生身の自分のままではなくなっている。でも、皮膚は皮膚。そこが、ちょっとエロティックな関係というか。

津野(海太郎)「もちろんそうだろうね。ひねくれたダンディズムだね。」

黒川「うふふ。そうだね。」

津野「自分は自分、皮膚は皮膚というのはいいな。」

黒川「うふふ。小沢さんのはしゃれてる。それが「新日本文学」のなかにあったということは、文学史としても大事なポイントだと思う。」

小沢信男・津野海太郎・黒川創「小沢信男さん、あなたはどうやって食ってきましたか」(2011年・編集グループSURE)より

編集グループ<SURE>HP

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